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『ケーブル&デッドプール:青の洗礼』翻訳原文比較

 2日続けての、デッドプール邦訳本の日本語的な言い回しが原文だとどうなっているんだろう、なコーナーです。
 今回は、昨日の『ホークアイ VS. デッドプール』と同じく、先月5月の末に発売されました『ケーブル&デッドプール:青の洗礼』から。
 ただし、今回も短いです。といいますか、一ヶ所しかありません。
 単行本読まれた方はご存知と思うのですが、この『ケーブル&デッドプール』は話に途切れがありません。ひとつの事件の解決も大体8割くらいで次の話に移っていって、残った部分が新しいエピソードの伏線になっていたりします。
 以降の『Cable & Deadpool』誌も同じように続いてゆき、ストーリーが密な分、われらのおしゃべりな傭兵も、軽口はやまないものの、あまり脱線したおちゃらけもできないようです。
 それでその一ヶ所というのは、90ページと91ページの見開きで、ファサードウィルスの脅威にさらされたデッドプールとケーブルの危機的状況を描いた場面です。事態に見合わずひたすら下ネタを口にしているデッドプールですが、そこでの一連の会話のほとんどは原文にかなり忠実に、それでいてくだけた読みやすい日本語になっています。
 例えば「昔はMr.左手でヤッてたこともあったんだ。真の愛がありゃ…」というのは”Chill, Wade. You’ve made do with Señor Lefty before. True love is still possible..”で、右手が駄目なら左手でという意味を踏まえながら、自慰のほのめかしを忘れていません。
 そんななかで、唯一意訳的な文章となっているのは、

まぁ、その…お口は最後の武器、ってか?
Okay, so… … I guess Big Wax Lips are always an option, huh…?

 です。
 Wax Lipsは巨大な唇をかたどったキャンディで、主にハロウィンの日に用いられるアメリカではかなり馴染みのお菓子だそうです。
「思うんだけど、巨大なワックス・リップも選択肢のひとつだよな」
 直訳すればこんなところでしょう。
 文字通り手も足も出なくなったデッドプールが、大きな唇でケーブルに接したいと、ジョーク半分にいっている意味もありますし、先ほど挙げたMr.左手のような特殊な自慰プレイのひとつとして取り上げているのではないでしょうか。
 限られた文字数で、下品になり過ぎないよう、それでいて原文のニュアンスを殺さないように選ばれたこのセリフの変更は、かなり練られているように思えます。

 それと意訳ではないのですが、少し目についた翻訳と原文の違いでは、47ページのかつての傭兵仲間であるハマーとの会話の冒頭で、ケーブルがワンワールド教会についての詳細な調査を依頼したところが、

「簡単に言うな」
「お前だけが頼りなのさ」
“I hate you.”
“But you always cash the checks.”

 となっています。
「お前なんか嫌いだ」
「その割には金はいつも受け取っているじゃないか」
 くらいが直訳でしょうか。
 注意したいのが、直前の膨大な注文を受けての’hate’なので、憎悪をぶつけたというよりは悪態に近いんじゃないかなと考えられるところです。
 直後ではケーブルとハマーとの間の不和も明かされているので、そのまま訳してしまうと、ふたりの仲が断絶していると読まれかねないおそれもあります。そこを受けての改変だったんじゃないでしょうか。
 こういうのを見ますと、やはり翻訳はひとつひとつのセンテンスだけでなく、全体を見通した上で行われる大変な作業だと改めて思わされます。
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テーマ : アメコミ - ジャンル : アニメ・コミック

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