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『パニッシャーMAX:ビギニング』について

PM_01_fc.jpg いよいよ明日4月30日、パニッシャーの邦訳本『パニッシャーMAX:ビギニング』が発売されます。
 このシリーズは、『ヒットマン』で現在の日本のアメコミブームの端緒を開いたガース・エニスがライター(物語作成)を務めたことで人気の第6期『The Punisher』誌の第1話から6話にあたります。やったぜ! 『ヒットマン』第3巻はまだですか?
 Netflixドラマ『デアデビル シーズン2』に登場したことを受けての邦訳とのことでしたが、正直やや唐突な印象を受けるのはいなみがたいところ。
 そういうわけで、今回はこの『パニッシャーMAX:ビギニング』の周辺情報およびあらすじをざっくり紹介してみたいと思います。私もパニッシャーあんまり読んでないんですが! こういうのは勢いで!

 さて、まずは気になるのは、タイトルについているMAXという文字です。
 これは、マーベル社におけるレーティング表記で、18歳未満は購入不可、お子さんの手にとれそうな商店も取り扱っちゃいけませんということを示す、日本でいうところの成年指定マークとか18禁マークみたいなものです。
 少し前に邦訳の出た『ジェシカ・ジョーンズ:エイリアス AKA 謎の依頼者』もその一作ですね。あの作品では、日常会話では頻繁に使われながらマーベルのコミックでは表記されることのなかった「Fuck」にはじまる数々のフォーレターワーズを用いるため、MAXレーベルからの出版と相成ったとのことでした。
 ジェシカ・ジョーンズのストーリーはメインユニバースであるアース616が舞台でしたが、デッドプールの同レーベル作品『Deadpool MAX』同様別ユニバース(アースは200111とのことです)となっております。とはいえ、メインユニバースと大きな差は、今のところ感じられませんので、「パラレルワールドものはちょっと……」という方も安心して読んでいられます。
 もっとも、別の意味で安心でないところはあるのですが……
 なにしろ『ヒットマン』や『パニッシャー・キルズ・マーベルユニバース』のガース・エニスです。そして悪人は容赦なく殺すことを心情としているパニッシャーです。そんなふたりが制限を取っ払ったMAXレーベルに放たれるんですよ。そりゃあ大惨事ですよ。

 大惨事の前に、少しガース・エニス作のパニッシャーについておおまかな流れを。
『ヒットマン』や『パニッシャー・キルズ・マーベルユニバース』をご覧の方はご存知とは思いますが、このガース・エニスというひとは、かなり過激で黒いユーモアを得意としています。
 悪人に対しては容赦なく、時にオーバーキルな行動をとるパニッシャーとの相性は特によかったらしく、単発だった1995年の『パニッシャー・キルズ・マーベルユニバース』の後、2000年に刊行された全12話のミニシリーズ『The Punisher』(第4期にあたる個人誌で、通称「The Punisher: Welcome Back, Frank」)はかなり好意的に迎えられました。
 仏頂面のフランク・キャッスルがニコリともせずに物語が展開していくこのシリーズは、全編悪趣味とブラックジョークに満ち満ちており、一気に読むとゲップが出るどころか胸焼けがしてきます。
 例えばマット・マードックことデアデビルと『デアデビルvsパニッシャー』よろしくやりあった後、気を失ったヘルズキッチンの守護者を鎖でがんじがらめにして、ダクトテープでピストルを片手に握りしめさせ、「俺はこれから人殺しをするけど、止めたいならその銃で俺を撃ち殺せ」という二択を迫るなんていうのは、まだスマートな部類と書けば、おおよその雰囲気は想像していただけるんじゃないでしょうか。そのくらい、血と反吐の臭いが詰まっています。
 この「Welcome Back, Frank」の好評を得て、第5期『The Punisher』を、話数が最初から決まっているリミテッドシリーズでなく、人気の続くうちは刊行されるオンゴーイング誌として、ガース・エニスの作をメインとして進行させていきます。こちらは前のミニシリーズと同様のブラックユーモア満載のシリーズだったらしいのですが、残念ながら私は未読です。
 この第6期も好評を受けていたとのことなのですが、途中でエニスは思いきった路線変更を決断します。それがコミカルな表現やジョークを抑え、よりシリアスなストーリーテリングに徹するというものでした。
 そうして仕切り直しが行われ、新たに開始されたシリーズこそ第6期『The Punisher』誌、『パニッシャーMAX』にあたります。(実際には英語で「Punisher MAX」というと別のシリーズにあたるのですが)

 原語でも今回の収録作品には”In the beginning”という副題がつけられていましたので、改めて開始という意味合いは向こうでも強かったのでしょう。
 そこで、冒頭ではフランク・キャッスルがパニッシャーとなった顛末、いわゆるオリジンが置かれています。
 ページ数は多くないのですが、これまでも何度か描かれてきた、ギャング同士の抗争の巻き添えを食って妻子を奪われたというセントラルパークでの悲劇を、パニッシャー自身のモノローグで書いているというのが印象的です。
 そのモノローグを決意として、新たな処刑の場へとおもむくパニッシャー。今回の標的は大いなるゴッドファーザーの誕生日に集ったマフィアの一族郎党。
 人数にまかせて油断しきったひとびとを、圧倒的な火器でもって、パニッシャーは次々と蹴散らしていきます。
 けれども、この、たったひとりで巨大マフィアのファミリーを蹂躙していく人間離れした力が、それを利用しようと目論むひとびとの目に触れ、さらにまた異なる勢力からの報復のきっかけになろうとは、当のパニッシャー自身もこのときは知る由もなかったのです……

 ストーリーはこのパニッシャーを含めた三つ巴の攻防を描いていくのですが、そこで冒頭のモノローグが端的に示すように、非常にそれぞれの内面が丁寧に描かれていきます。実際、パニッシャーの影が薄くなるくらいに、他の勢力の内部でのやりとりに紙面が割かれているのですが、そこまで描写されると逆に際立ってくるのが暴力のグロテスクさです。
 一度戦闘が起これば、MAXレーベルの名の示す通りの、血みどろのやり取りがくり広げられていきます。
 これまで邦訳されたデッドプールのコミックなどにもグロテスクな場面は多くありましたが、やはりあちらはまだ戯画化されたものでした。『パニッシャーMAX』では傷口描写や流血のエグさもありますが、それ以上に暴力そのものの持つむごたらしさが真に迫ってきます。
 銃弾がさく裂した個所は肉が裂け、骨が砕け、内臓があらわになり、脳漿が噴き出します。あまりにもたやすく、あまりにも激しく、ひとがひとの形を留めておけなくなっていくのです。
 だから爽快さは薄いです。それはパニッシャーがいつも通りの手法で悪に対峙していく場面であっても、です。
 ただ、だからといって、この作品が失敗しているわけではありません。
 実際、私はあまりグロ表現というのが得意ではなく、本書でも何度も目を覆うような場面に出くわし、少々こみ上げてくるものを覚えることがありました。それでも、読むのをやめようという気にはなりませんでした。それは単に無秩序な暴力描写で、紙面を血で染め上げているだけではないからです。
 この『パニッシャーMAX』のシリーズは、グロテスクな暴力を赤裸々に描くことで、それを行使する側がたとえヒーローであったとしても、そのグロテスクさを薄めることはできないことを示してくるのです。
 それはやはり、マーベルのヒーローコミックの持つ、豊富な表現方法のひとつであり、かなり成功したものであるといえるでしょう。

 最後に余禄としまして、今回のストーリーを読むうえで知っておいた方がいい登場人物の紹介を。それはマイクロチップ(もしくは単にマイクロ)です。
MC_01_fc.jpg 本名はライナス・リーバーマン、マイクロでもチップでもない容姿をした男性ですが、登場は1987年とかなりな古株(パニッシャーが単独誌を持つようになったのは1986年です)で、数少ないフランク・キャッスルの協力者でもあります。
 いくら凄腕の海兵隊あがりとはいえ、銃火器が専門のパニッシャーは、それを入手する必要があります。
 もともと天才的なハッカーという出自を持つマイクロチップは長年に渡り、その調達の手助け、整備、チューンナップ、さらには開発を行ってきていました。
 本人も家族をマフィアに殺された経歴を持ち、パニッシャー、フランク・キャッスルに強いシンパシーと友情を覚えていました。
 が、第1期「The Punisher War Journal」最終エピソードの一話で死亡が語られます。。
 このマイクロチップとの再会が、『パニッシャーMAX:ビギニング』において非常に重要な意味を持ってきます。

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テーマ : アメコミ - ジャンル : アニメ・コミック

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