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よりぬきデッドプールさん: MADCAPPED!

「だから、だれも気にしてねえって」
「そんなことないだろう。『マーク・ウィズ・ア・マウス』からのつきあいだ。いなけりゃすぐにわかる」
「ブルックリン橋を渡るとさ……」
「何の話だよ」
「聞けよ。すぐにブリートのトラックが停まってるだろ」
「ああ、ブルックリンの数少ない自慢のひとつだよな」
「俺達はニューヨークへ行くたびにあそこへ足を運んでる。まあ常連だわな」
「馬鹿にすんなよ。トルティーヤの配合がコンマ1パーセント変わってもわかるぜ」
「そのプロフェッショナルさんは、4カ月ほど前から店の看板変わってたのに気づいたかい?」
「俺達を看板といっしょにすんな!」
「違うのか?」
「違いねえや」

 思い返せば邦訳第一弾となった『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』以来おなじみの、デッドプールの脳内人格である黄色と白の四角いふきだしでした。ところが、この8月9月に出た4冊のうち『デッドプールVS.カーネイジ』『デッドプールの兵法入門』ではすっかりなりをひそめて、デッドプールを交えた三者三様のかけあいは見られませんでした。
DA_01_FC.jpg 実はこのふきだしとの対話は、デッドプール全シリーズにおいて見られる特徴ではなく、一時期、具体的にいえばダニエル・ウェイがライターを務めた第2期『Deadpool』にかかわる作品のみに現れるものなのです。
 ですので、ダニエル・ウェイから離れた上記2冊ではふきだしは出てきません。これは過去にさかのぼって、例えば第1期『Deadpool』誌でも『Cable&Deadpool』誌でも同様です。そして、現在刊行のアナウンスがなされている、第3期『Deadpool』誌の翻訳である『デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント』においても、です。
「だとしたら、そもそもあの四角いふきだしはなんなんだ?」
 もっともなそんな疑問に真正面から答えたエピソードが、「MADCAPPED!」です。

 このストーリーで大きな役割を果たすキャラクターがいます。
 その名は、マッドキャップ Madcap。
Madcap.png 初登場は『Captain America』#307(1985)とのことですから、キャラクターとしてはタスクマスターなんかと同時期の、中堅にあたる立ち位置にいます。
 つば広の帽子に黄色い仮面、道化服に身を包み、手にはシャボン風船を打ち出すオモチャの銃を持つヴィランです。
 この風体だけ聞けば、いかにも雑魚らしいキャラクターを思い描くかもしれませんが、所持するふたつの能力のために、あなどれない実力を兼ね備えています。
 まずは傷に対する超耐性。デッドプールやウルヴァリンのヒーリングファクターはもう説明の必要もないほどに有名ではありますが、マッドキャップの能力は、それを遥かに凌駕しています。おまけに彼は痛みを感じません。
 そして視線を交わした相手の正気を一時的に失わせるという、問答無用な能力を持っています。これはソークラスの相手にも適用可能なようで、つまり地球上のほぼ全般のヒーローに効果を発揮するといえます。
 相手からの攻撃はきかず、一方的に無力化が可能といえば、向かうところ敵なしのようですが、当人が相手以上に正気を失っているので、あまり脅威と思われていないのが実際のところです。

 シークレットインベイジョンよりさかのぼることしばらく、ですので第2期『Deadpool』誌の刊行より少し前のこと、デッドプールはある依頼を受け、高層ビル上にてスナイパーライフルをかまえていた。
 場所はニューヨークの、ヘルズ・キッチン。彼のスコープは、ひとりの盲目の弁護士、マット・マードックをとらえている。
 けれども、このニューヨークという街は、生憎、暗殺に適していない。なにしろ連日連夜多くのヒーローやヴィラン達が大騒動をくり広げているからだ。実際、デッドプールの脇にも、ひとかたまりの忍者の屍が累々と山になっている。
 引き金に指を掛けようとすればスパイダーマンが横切り、頭上ではXメンがジャガーノートに向かって飛び下りようとしている。
 散らされようとする気を、懸命に振り絞って、再び銃をかまえなおそうとした時、不意に現れたのが、やはりニューヨークを拠点とするマッドキャップでした。
 狂気と狂気の噛み合わない会話、乱入するデアデビルにソー、前衛的なコマ割りとふきだし、ソーとルーク・ケイジのチークダンス……
 なんとも悪夢的な光景が続きますが、そうした中で、しっかりとデッドプールの中のもうひとりの人格の誕生と離反が語られていきます。
 けれども、これもマッドキャップの狂気の瞳、いや、デッドプール自身の持つ狂気が見せる幻覚なのかもしれません。なにしろ、該当する時期には、「死んでいた」はずのソーが大きくからんでくるのですから。

 作品としては、『デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション』に収録されていた、時系列を問わない実験的短編に近いものがあり、決していきなり読むのに適した作品とはいえませんが、デッドプールの目から映る狂気の世界が垣間見えるエピソードとして捨てがたい魅力があります。
 またデッドプールの抱える根深い孤独がうかがえ、このおしゃべりな傭兵が普段マスクの内にしまいこんでいる内面に迫れる作品でもあります。

 最後に書誌情報を書いておきますと、「MADCAPPED!」は第3期『Deadpool』誌の年刊増刊号いわゆるアニュアルとして刊行されたもので、『Deadpool Annual #1』という番号が付されています。
 単行本としては以前にも紹介しました、デッドプールの結婚式の収められた『Deadpool Volume 5: Wedding of Deadpool』、もしくはアニュアルと増刊号ばかりを集めた『Deadpool: The Ones with Deadpool』に収録されています。
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