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『Gotham Academy vol. 1: Welcome to Gotham Academy』

 ゴッサムアカデミーへ、ようこそ。ここはゴッサムシティでも最高峰の学舎です。前途有望な成績優秀者のみが門をくぐることを許され、講義を受け、秘密の通路の探索を行い、怖ろしい亡霊を呼び起こすことができるのです……



GA_FC.jpg 先ごろ刊行されましたDCのTPB『Gotham Academy vol. 1: Welcome to Gotham Academy』は、ゴッサムシティ内にある同名の学校でくりひろげられる、なんと青春群像劇です。
 舞台となるゴッサムアカデミーは、高校に相当する施設で、各地より優秀な生徒を集めて育成を行っています。国や州、市といった公的機関から助成金をもらうのではなく、企業よりの基金により運営費用をまかなっている、日本的にいうならば独立学校法人です。
 学園内でくり広げられる物語は、およそ三本のストーリーが主となっています。

 ひとつ目は、学校内で暮らす生徒たちの人間関係を中心とした交流のストーリーです。
 夏季休暇を終えて年度の改まった矢先、主人公であるオリーブ・シルバーロックは学校長から呼び出しを受け、そこで新入生であるミア・ミゾグチ(通称マップス)の相談係を命じられます。これはアカデミーの伝統的な風習で、新入生は担当の上級生が割り振られ、マンツーマンで学校での生活に溶け込めるようにサポートしてもらえるようになっています。
 ところが、このマップスとは旧知の仲で、それというのも、オリーブは彼女の兄であるカイルの元ガールフレンドだったのです。
 仲違いをしたというわけでもないにもかかわらず、互いに微妙に距離をおいているオリーブとカイル、百パーセント天然の元気娘(趣味はテーブルトークRPG)のマップスは早速持ち前の好奇心を発揮してあちこちを駆けまわり、そこにオリーブのクラスメイトたちとの交流もからむ、十代半ばのさわがしくもほほえましい、本人たちにはさし迫った人間模様が描かれていきます。

 ストーリーラインのふたつ目は、いわゆる学校の怪談を扱います。
 守りのガーゴイルを屋上に掲げ、フクロウの像などの飾られた、石造りのゴシックな景観を持つ建物をいくつも敷地にそなえた、(おそらく)全寮制の歴史ある学舎ですから、ソノ手の噂話には事欠きません。
 今から百五十年ほど前に、現在の学校敷地内で悲劇的な最期を遂げた少女ミリー・ジェーン。その幽霊が校内に現れるという話がストーリーの大きな要点になります。
 やがて少女のつけていた日記が思わぬ発見をうながし、オリーブたちは学校の奥深くに眠る秘密に足を踏み込んでいくのですが……
 物語としては、このふたつ目のラインが最も濃く描かれ、主として引っ張っていく形になります。

 最後の線は主人公オリーブ・シルバーロックに関するものです。
 こちらは断片的で、明確には語られておらず、ほとんど「何か」をにおわすだけで終始しているのですが、それを簡潔にまとめるならば、この物語の開幕する直前の夏季休暇中にオリーブは大きな事件に巻き込まれ、あまりに大きなショックを受けたために本人も記憶を閉ざして思い出せなくなっている、というものです。
 この事件が元ボーイフレンドのカイルとの間に距離を生み、さらにはふたつ目の怪談話にもかかわってきて、三つのストーリーはばらばらにくり広げられながらも、時折からみ合って結び目となり思わぬ関連をみせます。

 もちろんDCにはティーンタイタンズのようなティーンエイジャーで構成されたヒーローチームも存在しますが、スーパーパワーも持たず一般人レベルの少年少女を主人公にしたコミックスというのは、寡聞にして知りません。
 十代の彼らが年相応に悩み、限界を覚えつつ不器用ながらも、三本のストーリーの綾に組み込まれ、あまり深刻になり過ぎることなく、コメディ主体として困難に立ち向かう様は、なつかしの少年ものの物語を読むようで、わくわくと胸を高鳴らせてくれます。
 個人的には現行のDCのシリーズで、最も楽しみにしているもののひとつです。

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テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 小説・文学

予約がはじまってた!

 いつのまにかはじまっていた「水曜どうでしょう」のDVDを予約してまいりました。
 こういう時困るんですよね、どう書いていいのか。DVDとしてはもちろん新商品ですので、「新作」と銘打っていいのか、けど実際に番組的には2002年に終わっているわけで、特にどうでしょうでは新作といえば別の意味にとられかねませんし……

 ご存知の方も多いかと思いますが、「水曜どうでしょう」は1996年から2002年まで北海道のみでテレビ放送されていた、いわゆる地方ローカルのバラエティ番組です。
 出演者はほとんどを鈴井貴之と大泉洋の二人でまかない、後はよくしゃべるディレクターとカメラ担当の寡黙なディレクターのみで日本全国津々浦々どころか世界にまで跳び出しています。
 番組は開始直後の模索期を除き、ある目標の達成を目指す企画(レンタカーで北アメリカ大陸を縦断する、原付バイクで東京から北海道まで72時間で走破するなどなど)を撮影したVTRを複数回に分けて放映する形で構成されていて、シリーズの分割が非常にはっきりされています。
 放送時間が日をまたぐような深夜でありながら、確実に視聴者を増やし、熱心なファンに支えられて最終回を迎えた翌年の2003年より、「どうでしょうDVD全集」というシリーズ名で第1回の放送より、著作権や肖像権の問題で一部を削りつつも企画にそって順次発売されています。
 そして今回予約の開始されたのが、その第23弾『対決列島』です。
 北は北海道から南は九州鹿児島まで、列島を縦断して出演陣が二組に分かれて、その土地ゆかりの品で対決を行っていく。何で。「甘いもの早食い」で。

 ゆるい。あまりにもゆるい。
 しかし、そのゆるさが、今の私には、なんだか無性に心地よいのです。
「水曜どうでしょう」を好きな理由は、ファンのみなさんならそれぞれ独自のものを持っていると思うのですが、最近は、私は彼らが移動するその車窓に見える日本各地の光景にとても惹かれるのです。
 番組の放送されていた九〇年代後半から二〇〇〇年初頭の、自分がまだ二十歳前後をうろうろしていた時期に見た光景が重なり、胸の奥からぽかぽかと温かくなる心地にさせてもらえるのです。
 懐古趣味でしょうか。それでもいいじゃないか。昔の番組を見てるんだし。
 そういう見方もできるのが、この「水曜どうでしょう」の懐の深いところだと思います。もちろん大泉洋の絶妙な話芸を楽しむこともできるでしょうし、鈴井貴之のたまに見せる突拍子もない言動にハラハラするのもいいと思います。安田顕の計算ではできない破天荒ぶりにあっけにとられるのも乙です。
 そのどれもが楽しく、また時間が経てば、新しい楽しみを発見できる番組だと思えます。
 とにもかくにも、発売は9月16日。それまでわくわくを抱えて、待ち望みたいと思います。

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上田としこ『フイチンさん』復刻愛蔵版上巻

 何気なく読んでいた新聞の日曜版書評欄で見つけた一冊の漫画本に目を引かれました。
 上田としこ『フイチンさん』と書かれたそれは、昭和三十年代に少女漫画雑誌で連載された作品で、戦前の旧満州を舞台に大家の門衛の娘フイチンがお屋敷のお坊ちゃんの子守りに抜擢されたことからはじまる物語をコミカルに描いたものとのことでした。
 書評を読んだ最初の感想は、
「へー、『つる姫じゃーっ!』の作者さん、こういう漫画も描いてたのか」
 と、おかっぱでてっぺんはげの女の子が馬賊姿で荒原をドタドタ疾走しているイメージが頭に浮かびました。
 以前から満州に興味を持っておりまして、それも手伝って、ネット検索をしてみますと、ところが出てきたのはもっとデザイン的なスマートな絵でした。
 このあたりで、さすがに鈍い私も気がつきました。
 今回話題になっていた『フイチンさん』の作者は上田としこで、『つる姫じゃーっ!』は土田よしこ……
 いやはやうろ覚えの知ったかぶりくらい始末におえないものはありませんです。

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