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エリントン改めて売り出す 男爵事始(7)

 ビッグバンドらしい音、といいましても、これは耳にする人それぞれで違うもので、一般化は難しいでしょう。
 でも、音楽を聞くにあたって、だれでも手がかり足がかりのようなものを持っていて、それを基準に聴く聴かないを選択していくことになると思います。
 その音楽のものさしのうちで、私の中でのビッグバンドらしい音というのは、冒頭一糸乱れぬアンサンブルがジャーンと幕開けを知らせて、そのままダラララブガチャカとテーマに躍り込み、やがてリズムセクションだけがチャララランとしんみりさせたと思いきや各ソロイストがアドリブをプワーッと切り込ませるのを何度かくり返した後、再びアンサンブルがジャーンと息のあった合奏で締める、というものでした。
 ジャーンだのプワーッだのまったく具体的じゃなく、一目で「あ、こいつ、ビッグバンドをまともに聴いたことないな」というのがわかる、まったく客観性のないものさしです。
 いわゆるモダンジャズからこの世界をのぞきこみだした私としては、大人数編成のインストゥルメンタルを聴くとっかかりがなく、ビッグバンドらしい音というのは、それを積極的に聞くためのものさしというよりは、消極的に遠ざけるためのものさしとして機能させていました。
 ですので、今回の『HI-FI ELLINGTON UPTOWN』を最初プレイヤーでかけた時の感想も、「まいったなあ」というものでした。

HFELUT.jpg まずはデータ類から。録音は1951年から1952年の間にまたがり、当時の最新録音技術で、「ザ・ムーチ The Mooche」「パーディド Perdido」そして「A列車で行こう Take the “A” Train」というヒット曲の再演と「スキン・ディープ Skin Deep」に「コントラバーシャル組曲 The Controversial Suite」という新作をまじえた構成になっています。
 メンバーのうち、サックスのポール・ゴンザルベスにジミー・ハミルトン、トランペットではレイ・ナンスが何度か当ブログでも名前の出てきた奏者でしょうか。ジョニー・ホッジスが不参加なのは、この時期リーダー活動を積極的に行い、一時的にエリントン楽団を脱退していたからです。

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月のウサギとカエルと鬼と

夢天_白文


 いきなりなんだと思われるでしょうが、これは九世紀初頭にあたる中唐の詩人李賀による一編です。
 唐詩人といいますと、まずあがる李白や杜甫は盛唐の詩人で、半世紀ほど先輩にあたり、唐代最大の詩人にあたる白楽天は同時代人になります。
 その後、二百年を経て、国号も宋に変わった時代に、李白・白楽天・李賀の三人を比較し、それぞれ天才絶・人才絶・鬼才絶と評されています。
 絶を抜けば、天才・人才・鬼才となり、特に鬼才は李賀を表すために作られた単語です。中国語でいうところの鬼は、死人や幽霊を指すところから、鬼気迫る才能、幽明境を平らかにしてしまうような表現力を持った人物というところでしょう。
 事実、李賀の詩では、死者がよく話題になり、自らを亡者に仮託して表したものもあり、神話時代や山海経などからとられた異形のものが多く姿を出します。
 ただ、この「夢天」はそうしたおどろおどろしさは薄く、なりをひそめています。
 荒井健による書き下し文を次に引いてみます。

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