やさぐれ探偵奮闘す 『ハワード・ザ・ダック:アヒルの探偵物語』紹介

 もしかしたら、もう書店に並んでいる地域もあるかもしれませんが、明日2月22日は『ハワード・ザ・ダック:アヒルの探偵物語』(ShoPro)の発売日となっております。
 そこで今回は、この作品のかんたんな紹介を。

 ハワード・ザ・ダックはひょんなことによって、別の宇宙からこの世界にやってきた、唯一のアヒル型知的生命体です。
 逆の想像をしてみてください。私たちが突然アヒルが言葉をしゃべって文明を発達させている世界に飛び込まされたら、と。言葉は通じたとして、すべて道具や食べ物はアヒル基準、美的センスもアヒルとなれば、テレビでは美男美女のアヒルのラブストーリーが展開して、雑誌を見たら美女アヒルのピンナップがパラリ……
 考えただけでもうんざりと憂鬱になってきます。
 そういう世界に放り込まれたハワードは、ですので、ずいぶんとやさぐれています。
 コミックスが開幕するや留置所に放り込まれていて、隣では「なんでこんなところにオスのアヒルがいるんだい! あたしにだって権利があるんだよ! 人間の権利が! ニューヨーク市民の権利がさ!」おばさん妙齢の女性がしきりにわめき散らしているんですから、しかたないかもしれませんが……
 とにかくアヒルということで刑事から色眼鏡で見られる、歩いているだけでも通行人からは驚かれる、こうなるとぼやきのひとつもこぼれてもしかたないでしょう。
 つまりは、このハワード氏、見た目がアヒルなだけで、中身はどこにでもいる一般人とさしてかわりない存在なのですね。
 もっとも、やさぐれ、ぼやき、能力としては一般人とさしてかわらないハワードですが、けれども自らの境遇が境遇だけに、同じような立場のひとに見せる義侠心は本物で、だからこそ多くのひとびとにときに侮られながらも、しっかりとヒーローのひとりに名前を連ねている理由がところどころで見られ、口はわるいですが憎めないキャラクターとなっています。
 そんなやさぐれアヒル探偵が、周囲から奇異の目で見られつつ、ぼやきをぽろぽろこぼしながら、身過ぎ世過ぎのために営んでいる私立探偵業務に精を出すというのがおおまかなストーリーラインとなります。

 今回、その私立探偵事務所に持ち込まれたのは、ブラック・キャットに盗まれた家宝のネックレスを取り戻してほしいという依頼でした。しかし、これがまさか宇宙を股に掛けた大冒険の引き金となり、高齢者の犯罪問題をからめて、地球をおびやかす危機へとつながるだなんて、当のハワードは思いもよらないのでありました。
 テンポよくころころと移り変わる舞台で、次々に登場するゲストキャラクターたち、そこにクワックワッとくちばしをはさみこむハワード、この掛け合いが見どころのひとつとなっています。
 シーハルクの日常的なシーンは珍しいですし、ファンタスティックフォーのからみも邦訳本だと貴重に思えます。
 また、各話の間には独立した短編がはさみこまれているのですが、こちらもさらにしょうもない(褒め言葉)話となっていて、ついクスリとさせられます。個人的なおすすめは老ウルヴァリン(オールドマン・ローガンではありません)とのゆるい掛け合いを見せてくれる一編です。

 お話としてはコメディとなり、どっかんどっかんと爆笑に次ぐ爆笑という感じではないのですが、読んでいるとゆるいくすぐりがそこかしこに用意されておりまして、だらしなく笑っているうちになんだか癖になっているというスルメのような味わいのあるシリーズです。
 物語としましても、直後に特大クロスオーバー「シークレット・ウォーズ」の開幕した関係上、この本に収録された分で完結しており、きりよく読むことができます。
 シリアスに疲れた際に手を伸ばすのにちょうどいい一冊、そんな感じの本になっています。
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発売直前紹介『デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド』

 ひさびさのアメコミ紹介となりますが、今回取り上げますのは、2月15日にShoProより発売の予定されております『デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド』です。

 シールド協力者として、今日も元気にヒドラの支部にカチコミをかける我らがデッドプールさん、「ボブ! いたら返事してくれよ! お前を殺しちゃう前にさ!」などと、一応友だち思いなところを見せつつもばったばったと戦闘員たちを薙ぎ払っていきます。(比喩でなく)
 今回の目的はひとりの科学者の保護にありました。
 彼の名前はカール・ウェザー博士、ヒドラ内部である研究を進めていた人物です。その研究とは時間旅行に関するもので、博士はそれを担保に複数の組織に売り込みを図っていたのでした。
 研究内容やそれにまつわる裏事情を知り、きなくさいものを感じたデッドプールは行動を起こそうとした矢先、突然背後から銃をつきつけられます。
「お前がウェザー博士を殺すことが、この世界の崩壊の引き金になる」
 重武装で語るその人物こそ、かつての相棒、ケーブルことネイサン・サマーズでありました……

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イベント参加のお知らせ

 すっかりご無沙汰となってしまいましたが、なんとか生きております。

 さて、ご無沙汰といいますと、私の個人サークル有滑稽ですが、長らくの凍結を経まして、活動を再開いたします。
 久しぶりのイベント参加となりますのは、2017年1月22日! そう! つまり今日です! なんてこった!

 その本日、大阪はAAホールの2階にて開催されます、ガールズ&パンツァーオンリーイベント「おおさか作戦です!」に名を連ねております。
 配置場所は「ひまわり中隊 4」です。

 今回刊行させていただきます新刊は『まだみぬほのかな恋心』。
 西住まほと継続高校のミカのふたりがメインで、熱を出して悪夢にうなされるまほのもとにミカが看病にやってきて……という短い小説がメインとなっております。
 お品書き(といいましても1冊きりですが)はこちらです。
宣伝用03
 今回は素敵な表紙と挿絵をQZO。さんに、そしてもう1枚の挿絵をほたけさんにお願いいたしました。
 ひとに話すと割と引かれるくらいの無茶なスケジュールにもかかわらず、快くお引き受けくださったおふたりには、もうただただ感謝するしかありません。

 イベント頒布価格はA5版28ページ400円となっております。

 本日、大阪に出向く御用のおありの皆様は、是非とも足をお運びいただけますと幸いです。

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劇場版『この世界の片隅に』とその他もろもろ

 映画『この世界の片隅に』見てまいりました。
 よかった。
 よかったという言葉を単純に使ってよいのかと考えさせられてしまうほどに、もとの漫画は様々な問題提起をはらんでいるのですが、それでもやはり一個の完成した作品として鑑賞した際、その出来栄えを評価しようとすれば、おこがましくも「よかった」というのが最も感情を適確に表しているように思えます。

 物語は昭和十九年初旬、十八歳で広島の呉市に嫁入りしてきた主人公すずが見て、味わった、戦争末期の情景が描かれていきます。
 ストーリーについては、私からはなにも申し上げるべきことはありません。
 原作未読の方には、戦争というなかの日常、日常のなかに戦争のあった時代を、その苛烈さに加えてのどかさを存分にまみえて体験させてくれる稀有な作品だとお勧めいたします。
 そして、原作既読の方、ご安心ください。元のままです。あの『この世界の片隅に』が、そのままアニメーション作品となって仕上げられています。
 そのままどころではありません。広島と呉の街が、色づいて動く形となって造り上げられ、ある部分では原作を越える奥行きを提示してくれます。
 未読も既読も関係なく、是非とも一度ご覧いただきたい、そんな映像作品です。
 そして、見終われば、必ず漫画の『この世界の片隅に』を読みたくなってきます。

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『デッドプール Vol.6:オリジナル・シン』翻訳原文比較

 ご無沙汰でした。
 最近は私事でばたばたしており、ブログの更新をすっかりうっちゃってしまっておりました。
 楽しみにしていた方がいらっしゃいましたら、本当にすいませんでした。

DP_03_06ja_FC.jpg さて、今回は『デッドプール Vol.6:オリジナル・シン』の邦訳独特のいいまわしが、原文ではどのようになっているかの比較をしてみたいと思います。
 それにしても、翻訳の刊行が8月っていうことは、もう2カ月も空いてしまってたんですね……
 上段が日本語訳で下段が原文となります。
 いつも通り、あくまで比較が目的であり、邦訳を揶揄する意図はまったくありません。そのあたりご理解いただけますようお願いいたします。

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